あなたは「IQ」について、どのようにとらえていますか?
IQという数値で頭の良さを表したりしますし、「これが解けたらIQ〇〇以上」なんていうクイズもよく見かけます。
そのことからも、「IQが高い=かしこい」というイメージをお持ちかと思います。
しかし、本当にそうでしょうか。
そんな簡単に頭の良さを数値化できるものでしょうか。
そもそも「IQ」とはいったい何を表した数値なのでしょう。
知能が高いとされる定義とは何なのでしょう。
単純なとらえ方では測りきれないはずの複雑に入り組んだ人間の知能。
「IQ」という指標を正確に理解すれば、「本当の頭の良さ」とはどういうものかがわかるはずです。
- そもそもIQとは【数値化された知能】
- IQが高いと頭が良いのか【かしこさの本質】
- IQを高める方法【カギは脳の柔軟性】
IQが高ければ頭が良いのか。
頭が良ければIQが高いのか。
そんな疑問に思いを巡らせながら、1歩踏み込んで考えてみましょう。
そもそもIQとは【数値化された知能】

IQについて理解する
Intelligence Quotientの頭文字をとって「IQ」と呼びます。
これは、人の知能の基準を数値化したものとされており、その指数は知能検査によって測ることができます。
一般的にIQテストといわれるものですね。
このIQテストは、フランスの心理学者であるシモンとビネーによって生み出されました。
もともとの目的としては、子供の精神的な発達レベルを調べ、それに応じて一人ひとりが最適な教育を受けられるようにと考案されたものです。
それに改良を重ねて、大人の知能も測れるような現在のIQテストになったというわけです。
以前はごく単純な計算式で知能指数を算出していたのですが、その方法では正確性に欠けるという問題が発見されたため、現在では「偏差IQ」というものが知能指数の指標として用いられています。
偏差IQを簡単に説明すると、「同年代の平均に対してどの程度か」を把握できる指標です。
年齢別の平均IQを基準として、自分の知能指数はどのあたりに位置しているかということを算出したものが偏差IQで、現在広く使われている「IQ」といえばこの偏差IQのことを指します。
それに基づいた大まかなIQの分布は以下のようになっています。
- IQ100が平均値
- IQ85〜115の間に68%の人が入る
- IQ70〜130まで範囲を広げると95%の人が入る
一般的に、IQ110以上あれば知能レベルが高いとされており、東大生の平均は120だといわれています。
ちなみに、高IQの人々が集う団体「メンサ」の会員になるには、少なくともIQ132以上が求められるとのこと。
知能とはなにか【3つの知能の定義】
IQは知能のレベルを示す値であるということはわかりました。
では、そもそも「知能」とはなんでしょう。
これは「問題解決のための土台となる能力」といえます。
数学の公式や歴史の年表をどれだけ記憶していても、それで知能が高いということにはなりません。
その問題を解くための方法を考え、自力で答えを導き出す力が知能です。
もちろんこれは勉強に限ったことではありません。
「頭が良い」と聞くと「勉強ができる」ことと関連づけようとする人が多くいますが、知能と学力は別物です。
それに関しては後の項で掘り下げて解説しています。
まずここでは、「知能」とはどういったものかを示した4つの定義を見ていきましょう。
1.知能とは適応力である
知能が高いということは、困難な場面や未経験の状況において、適切な対応ができるということになります。
感覚的な判断ではなく、有効性を考えて論理的に思考を組み立て、最適な対策を講じる能力が高いほど知能が高いと言えます。
その時その状況で「手持ちの知識をどう応用できるか」と深く考えられることが知能の高さになります。
適応力を発揮してものごとに対応する力が応用力で、
となります。
2.知能とは抽象思考能力である
文字や図、記号などを使い、抽象的に思考する力が優れていれば知能が高いと言えます。
抽象的とは、簡単に言えば「ものごとを俯瞰して観察すること」で、細部のみに注目せず全体としてとらえる考え方です。
視野が広いとも言えるでしょう。
実際に目に見える具体的なものを判断基準とせず、抽象的な視点から思考していけるということは、知能が高いということを表しています。
推理力や洞察力もこの抽象思考能力に当てはまります。
3.知能とは学習能力である
学習により知識や技能を身に付けられる能力が高ければ、知能は高いということになります。
学んだことをいかに自分のものにできるか、ということですね。
失敗してもそこから学び、「同じミスは二度と繰り返さない」という人は学習能力が高いです。
教わったことをすぐに理解できるか、何回も説明してもらってやっと理解できるか、という違いも学習能力の差によるものです。
心の知能指数「EQ」
知能の高さはIQで表されますが、それとは別に心の知能指数を表すEQ(Emotional intelligence Quotient)というものも存在します。
なぜここでEQの話をするかというと、社会において成功を収めるにはこのEQこそ大切だとされているためです。
どうしてもIQばかりが注目されがちですが、認識のかたよりをなくすためにIQと合わせて知っておけば役立つかもしれません。
EQが重視するのは「対人関係」における能力です。
自分の感情を認識し、制御することができるかどうか。
人の表情を見て、その人が喜んでいるのか怒っているのかを正確に判断できるかどうか。
このような能力の高さが、日常生活やビジネスにおいては重要だとされています。
IQがどれだけ高くても、EQが低ければ社会的に順応はできないということです。
EQは、自分に対するものと他者に対するものという2つの観点で分けることができます。
対自的能力
- 自分の感情・欲求を認識する能力
- 自分の感情・欲求をコントロールする能力
- モチベーションを上げて意欲的になる能力
- 継続してものごとに取り組む能力
- 悲観的にならず、前向きにものごとを受け止める能力
対他的能力
- 人の感情に共感する能力
- 人の言おうとしていることを理解する能力
- 人の置かれている状況を想像する能力
- 人に自分の気持ちを伝える能力
- 人と意思の疎通ができる能力
IQが高すぎて周囲と馴染めない原因はEQにあり
IQが突出して高い人というのは、考えが飛躍しがちです。
普通ならばAという問題を解決するためにBという過程を経て、Cという結論にたどり着くものですが、IQが高い人はいきなりA→Cに行き着きます。
頭の回転が早すぎてBという中間の思考を飛ばしてしまうのです。
しかし本人はそれで理屈が通っていますし、もちろん答えも合っています。
こういったことから、「IQが高すぎると、人と考えが合わずに浮いた存在になってしまう」などという話を聞くことがありますが、EQが高ければそういったこともなくなるというわけですね。
「どこが理解されなかったのか……」
「補足説明が必要かもしれないな……」
と考えることができるのもEQの高さによるものです。
IQが高いと頭が良いのか【かしこさの本質】

「IQが高い」と「頭が良い」はイコールか
IQが高ければ「頭が良い」ということになるのでしょうか。
結論から言えば、決してそうとは限りません。
IQというのは部分的な頭の良さを数値化したもので、それだけでは測りきれない思考パターン、脳の活性化する分野は無数にあります。
IQテストで測れるのは、主に言語的機能と論理数学的機能です。
頭の回転が速いかどうかなどはIQで測りやすいのですが、「どれだけ深く考えられるか」などといったことは数値化されません。
心理学の観点からも、IQが高い=頭が良いとは言いきれないとされています。
「知能」がなにを指し示すのかという定義は学者によっても時代によってもさまざまで、「知能とは〇〇」という結論は今のところありません。
たとえば、知能の定義として挙げられているものには次のようなものがあります。
- 記憶力
- 空間把握能力
- 知覚能力
- 音楽的能力
- 推論能力
- 処理能力
- 社交性
- 合理的効率性
などなど。
これらも「知能」であるとすれば、IQが高いからといって頭が良いとは言いきれませんよね。
前述したように、IQで測れるのは言語的機能と論理数学的機能です。
つまり、IQが高ければ「言語的・論理数学的に優れている」ということはできますが、「知能が高い」には直結しないというわけなのです。
IQテストの結果が低くても、それ以外の分野で才能を発揮して成功する人はたくさんいます。
特に、芸術的な感性などは検査しても測りようがありません。
IQの数値に振り回されず、自分の得意分野を把握することが大切といえるでしょう。
テスト慣れもIQの高さ
IQテストをやってみたことがある方なら気がつくかもしれませんが、出題される問題はある程度パターン化されています。
問題の内容が違っても、答えにたどり着くための考え方は似通ったものが多いのです。
だとすれば、「数をこなし、繰り返し練習を重ねれば正解率が上がり、誰でもIQが高いという結果になるのでは?」という疑問が生まれます。
問題の出題傾向を覚えて正解率が上がれば、それは純粋なIQではないのではないか、ということですね。
そこで考えてみたいのは、「何回繰り返しても解けない人は解けない」という事実があることです。
はじめは解けなかった人が回答を見て、解き方を教えてもらって理解したとしても、それはその問題に限った知識になります。
また同じ問題が出ればわかりますが、少しひねられると「はじめての問題」だと認識してしまうのです。
本当にIQが高い人というのは、その知識を「パターン」として脳の引き出しにしまっておきます。
すると、見たことのない問題であっても「これはどのパターンに当てはまる?」と脳の引き出しを探しまわり、使える知識を選び出すことで問題を解きます。
手持ちの知識を当てはめて対応することができるのです。
この能力を「パターン認識力」といいます。
パターン認識力とは、複数の情報の中から共通点を見つけ出し、それがいま目の前にあるパターンに当てはまるかを確かめる仮説検証力の高さを意味します。
このことから、「IQが高い人=IQテストが得意な人」ではないということが理解できるかと思います。
パターン認識力が高いからこそ、IQテストに慣れるということが可能になるわけです。
勉強ができる人はIQが高い?
これに関しては、ここまで読み進めていただいたあなたはもうお分かりかと思います。
勉強ができることとIQが高いことは全くの別問題です。
学校のテストや資格試験などは、暗記で乗り切れるものや反復練習で正答率が上がるものが非常に多くなっています。
その問題を解くためだけに集中して頭に叩き込めば、ある程度の点数をとることができます。
だからこそ「一夜漬け」が通用したりするわけですね。
それに対して、応用が効くか、幅広い視点から考えられるかがIQの高さです。
これには、記憶に頼らず自分の頭でしっかり考えることが求められます。
なので、「IQが高い人は勉強ができる」というのは成り立つでしょう。
自分で考えて正解への道を模索し、問題を解くことができるのですから。
しかし、「勉強ができる人はIQが高い」とは言い切ることができません。
数学の点数がよくても、ひたすら公式を覚えて問題を解いているだけではただ「記憶力がいい人」です。
IQが高ければ、「この問題はどのパターンに当てはまるか……」と考え、パターン認識力を持ってして解決します。
勉強ができる ≠ IQが高い
微妙な違いのようで、そこには問題解決の過程における大きな思考の差があるのです。
IQが高いことのメリット
「考える力」に大きな差が出るのがIQです。
深い思考力を持ち合わせていることが、IQが高いことの何よりの価値でしょう。
しっかりとものごとを考えることができるということは、理解力の高さにつながります。
たとえば、1冊の本を読んでその内容を理解するのが早くなります。
得た情報を自分の頭で処理しながら読み進めるため、目と脳がリンクしています。
脳を動かしながら得た情報は知識としても身につきやすくなります。
「小学校の教科書の欄外に書いてあった、小さな注釈の内容まで覚えている」という超人的なことがIQの高い人には見受けられたりします。
これも、チラッと見た内容を頭で処理して理解したからこそ、脳の記憶の引き出しにしっかりとしまい込まれていたためなのです。
考えずに目で読んだだけでは、本当の意味で理解していることにはなりません。
自分の思考を通して深く考えることで、知識として形成されるようになります。
また、子供の頃からそういう経験を繰り返せば自分に自信がつきます。
「自分はなんでも人並み以上にできる」という認識が潜在意識に植え付けられ、自己効力感が高まり、困難なことにも挑戦する意欲を持てるのです。
[https://kumonagi.com/self-efficacy/]
「頭が良い」とはつまり
私の考えるところとして、頭が良いとは「自分の頭でしっかりと考えることができること」と結論づけられると思います。
IQが高いとは、思考を細部まで巡らせることができるかどうか。
人の意見にしっかりと耳を傾けつつ、「本当にそうだろうか」といったん自分の頭で考える。
常識とされていることにも「もっと他の考え方があるのでは……」と思考を巡らせる。
そういう脳の動きが、非凡なアイデアを生み出すのではないでしょうか。
考えて考えて自分で答えを導き出すこと。
それは発想力であり、応用力であり、適応力です。
「頭の良さ」の定義は学者たちが議論を続けながらもいまだに結論が出ない問題なので、あくまでも個人的な考えですが、論理的かつ柔軟な思考力の高さが「頭の良さ」と言えるような気がします。
IQを高める方法【カギは脳の柔軟性】

IQは鍛えることができる
IQに関する研究の中には、「IQは遺伝や幼少期の環境により決定される部分が大きく、成長してから大きく数値が変化することはない」とされているものも存在します。
しかし実際はそんなこともなく、学習効果によってIQを向上させることは十分可能であるといえるでしょう。
学習することにより、脳の神経細胞をつなぐシナプスが増大していきます。
シナプスが増えると神経細胞同士のネットワークが濃密なものとなり、知識同士の結びつきが多くなります。
簡単にいえば、シナプスとは知識(記憶)から伸びる道です。
ひとつの知識から別の知識へと向かうとき、道筋が何通りも存在する方が寄り道がしやすく、一度で幅広い知識にアクセスしやすくなるというわけです。
このシナプスを増やすことが、IQ向上につながるのです。
脳は使えば使うほど良くなるというのは本当でして、脳トレなどはこのシナプスを増やす、もしくは減少させないための有効的なトレーニングであるといえます。
脳が衰える理由は、シナプスが減ってしまうことで思考が縦横無尽に駆け巡ることができなくなるからです。
脳を鍛える=シナプスが増える=思考が柔軟になる
つまり、IQの向上にも効果を発揮するということになります。
脳を鍛えることが、IQを鍛えるということなのです。
瞑想はIQの錬金術
「瞑想が脳にいい」などと最近よく耳にします。
禅やマインドフルネスなど、瞑想の習慣は世界的な成功者も多くの人物が取り入れています。
有名なところではスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツなど。
しかし、瞑想に馴染みのない人からするとどこかスピリチュアル的に感じられ、本当に効果があるのか疑わしいという気持ちになりますよね。
けれども瞑想は本当にあなどれません。
科学的にも効果が証明されています。
深く瞑想を行なっているとき、脳の活動はゆっくりになっています。
脳波が緩やかになっているということなのですが、そうなると脳の柔軟性が増して自己認識能力が高まります。
これはつまり、脳を休めると脳の機能が向上するということを表しています。
ある研究によると、瞑想をした人たちは平均で23%もIQの値が高くなったというデータがあります。
IQの高さは脳の柔軟性です。
そのカギとなる柔軟性を、瞑想がもたらしてくれるというわけです。
それ以外にも、瞑想には無視することのできない効果がたくさんあります。
- 集中力の向上
- 生産性の向上
- ストレス軽減
- 免疫力の向上
- リラックス効果
これだけでも瞑想をやる価値は十分に感じられるはずです。
始めること、続けることにハードルを感じてしまう瞑想ですが、習慣化できてしまえばあなたに多くのプラス効果をもたらすこととなるでしょう。
IQ値よりも「思考できているか」が大切
IQが130以上あれば天才だとか、平均である100を下回れば劣っているだとか、そんなことを気にかけるよりも大切なことがあります。
それは「自分の頭をつかって深く思考することができるか」ということであり、そのことが本当に頭が良いということにつながります。
問題に直面したとき、真っ先に人に頼るという思考は断ち切りましょう。
自分で可能な限りまで考え、問題解決に挑むのです。
外に答えを求めず、自分の中に答えを見出す。
そこまでしてダメだった時にはじめて、人の力を借りるようにしましょう。
努力もしない人に救いの手は差し伸べられませんが、自力でできるところまで頑張った人には誰だってサポートしようと思うものです。
自分の頭で真剣に考えるということをせずに思考が止まったままでは、正しい情報と誤った情報を見分けることさえできません。
世の中にあふれる膨大な情報の中から、本当に必要で有益な情報を選び出すことがあなたの人生を豊かにしていきます。
そのためには考えなくてはいけません。
視点を変えてあらゆる方向から、目に見える情報だけに惑わされないように。
そして普段からそういうことを心がけていると、脳はどんどん鍛えられていきます。
脳を鍛えるには考え続けることです。
脳の柔軟性が増す、つまり頭が柔らかくなれば副産物的にIQも上がります。
IQを気にしていても人生はうまくいきませんが、考える力が身につけば自分の力で人生を有意義なものにしていけます。
人類は地球上でもっとも脳が発達した生き物です。
宝の持ち腐れにならないよう、存分に脳をつかいましょう。
思考の連鎖があなたをつくります。


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