新しいことを学ぶというのは、脳に知識を追加するインプットです。
しかし、自分のまったく知らないことをゼロから学習するというのは、効率よく行わないといつまでも覚えられなかったり身につかなかったりするものです。
では、効率よくインプットするにはどのような方法があるでしょうか。
それは、「人に教えるつもりで学ぶこと」です。
人になにかを教えるというのは、自分自身がそのことについてしっかりと理解していなければできないことですよね。
知識のない人にわかりやすく説明する前提で学習することが、圧倒的な理解力と学習効率を生み出します。
- 効率的なインプットの方法は「教えるつもり」で学ぶこと【説明できる知識にする】
- 架空の質問に答えることが知識を深める【無知を補完する】
- ひとりごとインプットが学習効率を高める【アウトプットが同時進行される】
「本を読んで内容を把握しても、深くは理解できていない気がする……」
そんなときは、「それを人に説明したとき、質問に答えられるか?」と考えてみてください。
自信がなければ、あなたの知識はまだ不十分ということです。
逆に、想定できる質問にすべて答えられるようになれば、その知識は完全に自分のものになっています。
学んだ知識をそのレベルにまで引き上げる方法というのが、人に教えるつもりでインプットすることなのです。
効率的なインプットの方法は「教えるつもり」で学ぶこと【説明できる知識にする】

その知識、人に説明できますか?
新しいことを学ぶ気になり、厚めの本を1冊読み切ったとしましょう。
書かれていた内容はだいたいわかりました。
全体像もつかめた気がします。
これで、とりあえず知識は頭に入ったはずです。
では、その本で学んだ知識を、人に説明することができますか?
簡単でいいので、誰かにその本の概要を説明することをイメージしてみてください。
- なにから教えればいいか
- この内容は次にどこへつなげればいいか
- 結論としてなにが言えるのか
どうでしょう。
言葉がスムーズに出なかったり、話の脈絡が無理やりになったりしませんか?
結局なにが言いたいのか、自分でもわからなくなったりしませんか?
……安心してください。それが普通です。
本を1回読んだくらいでは、人に説明できるほど深い知識として定着させることは難しいものです。
しかし、本を読みはじめる前に「人に教えよう」という意識を持って臨んだとしたらどうでしょう。
ただフムフムと思いながら読み進めていくのとは違い、文字を追う姿勢が変わってくるはずです。
人に教えるためには、まず自分が理解している必要があります。
誰かに説明しようという気持ちで学習すれば、しっかりと内容を把握しようという心理が働き、深くて整った知識が身につきやすくなるのです。
受け身のインプットは知識が散らばる
- 重要な部分にマーカーをひく
- あとで読み返したいページに付箋を貼っておく
これらは定番ともいえる方法ですが、このやり方では知識として身につきません。残念なことに。
しるしをつけただけでは、脳はなにも仕事をしていないのです。
その部分が重要だということはなんとなく頭に入りますが、それがどういう意味なのか、どれと関連性があるのか、といった知識のつながりがなく、個別の情報として認識されてしまうのです。
つまり、知識が散らばっている状態です。
- 読むだけ
- 見るだけ
- 聞くだけ
これらはすべて、完全に受け身のインプットです。
「どこかで読んだことがあるんだけど……」
「前に聞いたことがある気がするけど……」
これは、インプットが受け身で終わってしまったために起こる現象です。
知識を身につけるなら、「自分の頭で思考する」というプロセスを経ることが絶対条件になります。
そのときに役立つのが、「説明するとしたら、どう伝えればいいだろう?」という考え方です。
人に教えるなら、その知識の前後関係も知る必要がある。
わかりやすく伝えるために、簡潔にまとめる必要がある。
そうして考え出された「説明」は、インプットした知識をアウトプットしているのと同じことです。
人は「アウトプット」することで学習効果が圧倒的に高まります。
自分の頭で考えて整理し、自分なりの言葉で文章にする。
この作業をすることで、たいして仕事をせずに受け身だった脳が急速に回転しはじめます。
説明シミュレーションで学習効率アップ
本の1章を読み終えたところで、その章の内容を誰かに説明するシミュレーションを行ってみましょう。
仕入れた知識を人に教えるつもりになれば、「理解しやすい説明をできるようにしよう」と脳が働きます。
わかりやすい説明にしようと思うと、頭に入った知識を噛み砕いて簡単な言い回しに変換します。
その過程が、自分の脳に記憶として定着しやすくなり、より深く内容を理解することができるのです。
いま学んだばかりの知識を「人が理解しやすい説明にする」という行為は、同時に自分にとっても理解しやすい説明になるので、「自分自身に教えている」のと同じことになります。
読むだけ聞くだけではただ流れていっていた情報を、もう一度自分でかき集めて、つなげて、まとめる。
そして、それを誰かに説明するシーンをイメージしてみましょう。
気軽な話し言葉でかまいません。
「〇〇っていうのは、□□だからこうなるんだよ」
こんな調子で、どんどん説明に変換していきましょう。
本の1章にこだわる必要はありません。「これは覚えておこう!」と思うことが出てきたら、そのタイミングで説明シミュレーションを行ってください。
読んで学んだら説明する。
また読み進めて学んだら、また説明する。
できれば、小声でいいので声に出した方が効果的です。
話をちゃんと組み立てようと、より一層脳が活性化します。
そうして本を1冊読み終えたときには、たとえ序盤の内容であっても、自分で説明したことというのはちゃんと覚えています。
わかりやすい内容で記憶に残りやすくなるので、説明を前提に学ぶというのは非常に効率の良い学習方法なのです。
架空の質問に答えることが知識を深める【無知を補完する】

その説明で、想定される質問は?
人に教えるとなれば、ほぼ確実に「質問」が出てくるはずです。
「それは、〇〇とはまた別なの?」
「なぜ、いまの話がそこにつながるの?」
1回の説明で1から10までを伝えることはほぼ不可能で、聞いてる人が疑問を抱くポイントというのが必ずあるはずです。
教えるプロである学校の先生の説明であっても、質問が一切出ないということはあり得ませんよね。
説明シミュレーションをしたときに、「この説明では、こういう質問がくるだろうな……」ということを想定してみてください。
自分がその説明を受けている立場だったら、どこに疑問を感じるかを客観的に考えてみてください。
自分はたったいま学んでいる最中なので、わざわざ言わなくてもわかっています。
ですが、その話をはじめて聞く人はどうでしょうか?
そういう視点で説明シミュレーションに臨んでみましょう。
そうして出てきた質問に、「すぐに答えることができますか?」というのがポイントです。
- 補足説明がスラスラできるか?
- それは違うという理由を言えるか?
- なぜそうなのかを解説できるか?
もし答えることができなければ、その部分の知識を得る必要があるということです。
一方的に説明するだけだと本の内容の要約に過ぎませんが、質問を想定して説明してみることで、知識がより広く、より深いものへと磨きあげられます。
説明シミュレーションは、「説明・質問・回答」の3つをクリアしたときに最大限の学習効果を生み出すのです。
「小さな違和感」を素通りしない
本を読んでいて、難しい部分やいまいちよく理解できない部分などを、サラッと読み飛ばしてしまうことはないでしょうか?
すこし引っかかるけれど、読み進めればなんとなく分かるかもしれない……
そのような些細な疑問こそが、説明シミュレーションにおける「想定される質問」となり得ます。
あなたが引っかかった部分というのは、他の人も引っかかると思ってください。
説明を受ける側は、疑問に対して当然質問をします。
あなたがその内容に引っかかったまま素通りしていれば、その質問には答えられません。自分でも疑問に思ったままなのですから。
その不十分な知識を補うには、学んでいる最中の「これはどういうことだろう……?」という小さな違和感を見過ごさずに、いま自分が疑問を抱いたということを自覚することが大切です。
そして、その答えを求めて調べるのです。
その本の他のページに書かれているかもしれません。
もしかすると、本の中ではその疑問には触れられておらず、別の書籍やネットで検索して調べる必要が出てくるかもしれません。
そうやって自分から能動的に調べた知識は、確実に自分のものになります。
そうなれば、人から質問されても簡単に答えることができるのです。
違和感を感じたら、それが「疑問」なのだということに気づくこと。
その解決を求めて、自分から調べにいくこと。
小さな違和感を素通りせずにひとつずつ丁寧に処理していけば、知識がどんどん数珠つなぎになっていき、質の高いインプットが可能となるのです。
質問に答えられるということは、自分の中で筋の通った知識として定着している証拠です。
足りない知識に気づくことができる
説明シミュレーションをやってみて、想定される質問に答えられなかったとしたら、そこに「自分の知識がまだ足りていない部分」があるということです。
人に教えようとしたときにうまく説明できない部分が、自分が理解できていないポイントです。
ただ本を読んでいるだけでは、このポイントに気づくことはなかなかできません。
多少疑問を抱いてもどんどん読み進めていき、やがて疑問に思ったことを忘れてしまうからです。
ところが、人に教えるつもりで説明してみると、自分の理解が不十分なポイントというのが浮き彫りになります。
そこに気がつくことができれば、いま学んだばかりのことを自分で補うことができ、まとまった知識を得ることができるのです。
また、たとえ完璧な説明ができたとしても、質問の余地は無数にあります。
正しい知識をもれなく教えても、「これは違うの?」「あれではダメなの?」と、間違い方面からの質問が飛んでくることがあります。
「それは違う」「それではダメ」というだけでは、説明される側としては納得できませんよね。
なぜ違うのか、どうしてダメなのかを説明できれば、聞いている人もより理解を深めることができるはずです。
その理由を答えられないとしたら、そこもあなたの知識が「不十分なポイント」ということです。
正解を知るだけではなく、不正解も知ってこそ十分な説明ができるようになります。
説明シミュレーションをする際のコツは、「完全に知識がゼロの人」を想定することです。
「言わなくてもわかるだろう」という部分こそ、実は自分でもよく理解できていなかったりするものです。
ひとりごとインプットが学習効率を高める【アウトプットが同時進行される】

インプットしながら「説明シミュレーション」を行う
学習効率を圧倒的に高めるために効果的なのが、人に教えている場面を想像する「説明シミュレーション」です。
ここまで何度か出てきましたが、説明シミュレーションこそ「教えるつもりでインプットする学習」に最適であり、理解力と記憶への定着を抜群に高めてくれる勉強方法なのです。
その理由は、「説明する」という行為がアウトプットになるからです。
知識は受け取るだけでは身に付かず、実際に使ってみてはじめて自分のものとなります。
仕入れた知識をつかう方法のひとつが、自分の言葉で誰かに教えることです。
人に教える = アウトプット
説明シミュレーションではこの両方が同時に進行するため、「頭に入った情報を整理して外に出す」という作業が一度に処理されることになります。
さらに説明シミュレーションの優れている点は、「知識に筋道が立つ」ということです。
本の内容を読むだけでは、どうしても前後の繋がりや全体像がぼやけてしまいがちで、部分的な知識で終わることが少なくありません。
しかし、人に教えるつもりになれば順序立った説明が必要になるため、「どれが何につながっているか」という思考が生まれます。
話の流れを考えながら覚えた知識はストーリーとなり、そのストーリーを展開することで、筋道立ったわかりやすい説明になります。
つまり、学びながら説明シミュレーションをするということは、「インプットしながらアウトプットしている」ということになるのです。
声に出すことで脳に定着しやすくなる
説明シミュレーションの効果を飛躍的に高める方法、それは実際に「声に出して説明する」ことです。
なぜ声に出す必要があるのか。
脳の中をめぐる思考というのは、口から言葉を発する速度よりもはるかに速いものです。
頭で考えていることに口が追いつくことはありません。
脳内の思考は電気信号なので当然ですよね。
そのため、頭の中だけで説明シミュレーションを行うと、話の展開が早くなりすぎて細かい部分をスルーしてしまう可能性があるのです。
細かい部分というのは、たとえば次のようなことです。
- 話の繋がりが多少無理やりでもそのまま進んでしまう
- よくわからない部分を曖昧にしてしまう
- わかったつもりで最後まで言い切ってしまう
1文2文程度の説明は、頭の中だとほんの一瞬で言い終わってしまいます。
「その説明で本当に理解できるか?」と考える余裕がないまま先に進んでしまうことになるのです。
そうなると、質問の想定も適当なものになり、十分な知識の補完ができません。
そうならないためにも、実際に声に出すことが効果を発揮するのです。
声に出せば自分の耳に届きます。
耳から入った情報は脳に送られ処理されて、疑問や違和感を感じ取ることができます。
小声で十分です。
想像上の誰かに、小声で丁寧にわかりやすく説明してあげましょう。
もっと言えば、本を読んでいる段階でひとりごとを言いながら話を組み立てていけば、より頭に入りやすくなります。
「ひとりごとインプット」が学びの速度を加速させるのです。
かなり怪しいですが、1人きりであれば気にすることはありません。
それで学習効率が抜群に上がるのです。やって損はしません。
ちなみに、常軌を逸した天才もよくひとりごとを言います。
かのアインシュタインもしかり。
声に出すというのは、頭の中を整理するのに非常に有効なのです。
教えるつもりのインプットは究極のアウトプット
学んだ知識が身についているか。
それを確認する方法が、誰かに説明してみることです。
言葉にすれば、自分の知識が不十分なところに気づくことができ、自分で疑問をもった部分はさらに掘り下げて調べることで、その場で補うことができます。
説明シミュレーションを行うことは、インプットした知識をアウトプットすることです。
インプットするだけでは受け身の学習になり、時間がたてば薄れていきます。
しかし、誰かに教えるつもりで学び、説明するという行動に移せば能動的な学習となり、その知識はあなたの記憶に定着します。
説明できて質問にも答えられるレベルになっていれば、もうその知識は確実に身についたと言えるでしょう。
説明シミュレーションを行い、質問を想定して答えを出す。
その次は、実際に人に教えてみるのもいいと思います。
やはり生身の人間というのは自分の想像の範囲を超えてくるもので、また新しい視点からの疑問、質問が飛び出すものです。
その答えをまた自分で調べれば、さらに深い知識になることでしょう。
質問は、自分の知識を底上げしてくれる有益な材料です。
Twitterで発信して反応を見てみたり、ブログに書いてみるのもいいでしょう。
とにかく、知識は学んで終わりにするのではなく、アウトプットすることが重要です。
しかし実際、本を読んだり話を聞いたりする学習はインプットのみで終わりがちです。
なにか新しいことを本気で学ぼうと思うなら、「教えるつもり」でインプットしてください。
そうすれば、いままでとは比べものにならないほどの学習効率を得ることができます。
まずは手始めに、この記事の内容を説明シミュレーションしてみてはどうでしょうか?


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