「1/fゆらぎ」というものをご存じでしょうか。
どこかで耳にした覚えがあるかもしれませんね。
「自然の音は1/fゆらぎになっているのでリラックス効果がある」
「あの歌手の歌声は1/fゆらぎ成分が含まれているので、誰もが魅力的だと感じる」
人がなにかの音などに心惹かれる理由を、専門的な研究家の方が解説する場面なんかでこういう表現を聞いたりします。
「人はそれを感じると、心地よい気分になる」とされているリズムのことを「1/fゆらぎ」というようです。
「……つまり、なに?」
そう思いませんか?
「研究で判明している」と言われたりすると「そういうものなんだ」と思い、それ以上深く追求する人はなかなか少ないのではないのでしょうか。
しかし、好奇心旺盛なあなたはそれでは納得できないでしょう。
私も、これでは「1/fゆらぎ」が何者なのかまったくわかりません。
そもそも「ゆらぎ」とは何なのか。
どういう理由で心地よいのか。
なぜ音で人がリラックスするのか。
このあたりに知的欲求を総動員し、一緒に「1/fゆらぎ」の正体へと迫っていきましょう。
- 「1/fゆらぎ」とはなにか【世界はゆらいでいる】
- 人に与える効果【メリット満載】
- 1/fゆらぎを保有するもの【大自然や有名歌手】
1/fゆらぎにはまだまだ未解明の部分も多いとのことです。
しかし世の中には、どんなことでも熱心に研究を重ねて追及を続ける素晴らしい人たちが存在します。
その人たちのおかげで、少なくともいま好奇心で知りたい範囲の疑問は解決してもらえそうです。
また、記事のおわりには歌声に1/fゆらぎを持つとされているアーティストなども紹介しますので、最後までお楽しみいただければ幸いです。
「1/fゆらぎ」とはなにか【世界はゆらいでいる】

「1/fゆらぎ」とはなにか
冒頭で、1/fゆらぎとは「それを感じると心地よい気分になるとされているリズムのこと」としました。
これをさらに説明すると次のようになります。
1/fゆらぎとは、光や音、振動などに現れるリズムがある一定の条件を満たしている状態。
ある一定の条件とは、規則性と不規則性のバランスが絶妙に混じり合って調和していることです。
規則的すぎると単調で、不規則すぎると不快に感じる。
その両方がちょうど良いところで調和されているリズムが「1/fゆらぎ」なのです。
「1/f」が示す意味
1/fのfは「frequency」の頭文字で、「周波数」という意味です。
1/fという表記は、「周波数fに対して、現れる結果が反比例する」という意味の式です。
その式で現れた波形をグラフにすると、1/fという線になります。
数学的にもっと詳しい説明があるのですが、文章にしてしまうとあまりにも堅くなるので、ここでは
「1/fゆらぎとは、規則性と不規則性がバランス良く混じり合っているリズム」
ということを押さえておきましょう。
そもそも「ゆらぎ」とは
「ゆらぎ」と聞くと、なんとなくゆらゆらしている様子を思い浮かべますよね。
定義としては、「時間・空間の規則性のない動きや変化のこと」となります。
ゆらぎとはつまり「不規則な動き」のことですね。
そして、この世界に存在するものは何もかもすべてがゆらいでいます。
ずっとそのままの状態で静止しているものは何ひとつとしてありませんし、完璧に規則正しく動くものも存在しません。
自然の現象はもちろん不規則に変化しますし、人工物も時間の経過とともに劣化します。
規則的に宇宙を周回しているように思える天体も、わずかにゆらぎながら運動しています。
そして当然、私たち人間を含む生物もゆらぎながら生きています。
ゆらぎ=予測不可能
「不規則な動き」とは、速さや音などの周期を測定するときに予測できないズレが起きることです。
この不規則な動き、つまり「ゆらぎ」があるために、現代の技術を持ってしても「ものごとの動きを100%予測する」ことができないのです。
人類があらゆる現象を予測しているのは、過去のデータに基づいて計算した平均値を当てはめているに過ぎないわけです。
天気予報などはわかりやすい例でしょう。
おおよその予測でだいたいの天気は判断できます。
しかし、予報がはずれることも日常茶飯事ですよね。
雨雲や大気はゆらいでいるため、完璧には予測できないのです。
1/fゆらぎは生命が奏でるリズム
ゆらぎには種類があります。
「ホワイトノイズ」というものがそのひとつで、「白色ゆらぎ」とも呼ばれます。
ホワイトノイズは完全に不規則で、予測が不可能です。
「ブラウンノイズ」というゆらぎもあります。
こちらは「1/fの2乗のゆらぎ」と呼ばれ、それなりに予測することが可能です。
過去の数値に基づいて変化するのが特徴で、為替や株といった証券市場の分野に応用されているゆらぎです。
そして、このホワイトノイズとブラウンノイズの特性を持ち合わせたゆらぎこそが「1/fゆらぎ」です。
1/fゆらぎの別名は「ピンクノイズ」でして、ゆらぎの名称は色で表現されているようですね。
予測不可能なホワイトノイズと、予測しやすいブラウンノイズ。
その両方の特性を持ち合わせているとはどういう意味でしょうか?
「予測できそうだけど……でも、やっぱりできない」
という、どこかつかみどころがないイメージです。
1/fゆらぎは「偶然性」をもっています。
その偶然性は、生き物の活動にみられるリズムと同じです。
心臓の鼓動は早くなったり遅くなったりします。
呼吸の速度も一定ではありません。
まばたきのタイミングにしてもそうですね。
ある程度のパターンはわかっても、完全に予測するのは不可能です。
生命が生きていくなかで常に奏でるリズムこそが、1/fゆらぎなのです。
人に与える効果【メリット満載】

どうして心地よいのか
1/fゆらぎが心地よいとされる理由はいったい何なのでしょう。
先ほどお話しした「1/fゆらぎ=生命の奏でるリズム」がここにつながってきます。
1/fゆらぎを感じると、視覚、聴覚、触覚などを通じて私たちが生まれ持っているリズムに共鳴するため、安心感を抱き、リラックスするのです。
「偶然性」も大きな役割を担っています。
- 完璧に規則正しいリズムでは、変化がなく単調に感じて飽きてしまう。
- まったくのランダムでは、雑音だと認識して不快感を抱いてしまう。
このように、どちらか一方に偏ると人は心地よさを感じられません。
1/fのゆらぎは、おおまかな規則性がありつつもちょうど良いバランスで期待を裏切ってくれるので、リラックスしたうえで退屈に感じない、絶妙なゆらぎなのです。
1/fゆらぎが持つ3つの効果
1.リラックス効果
今までご説明してきた通り、1/fゆらぎは私たちのリズムに同調します。
人間は、同じ波長の周波数を感じると心地よさを感じるようにできているのです。
研究も数多く行われており、1/fゆらぎを含む音を被験者に長時間聞かせて脳波を見ると、大量のα波が検出されてリラックス状態に入っていることが証明されています。
2.免疫力の向上
1/fゆらぎの効果は精神的なメリットだけにとどまりません。
リラックスにより自律神経が整えられ、血流がよくなるという研究結果もあります。
体内の血流が良くなることで基礎代謝や内臓の機能が向上し、免疫力が高まる効果も期待できるのです。
自律神経の乱れは身体の不調に直結します。
それを調整することで、健康的に生きる活力を与えてくれるというわけです。
1/fゆらぎは、生命エネルギーを生み出す役割までも持ち合わせているのです。
3.集中力アップ
α波が発生するということは、リラックス状態であると同時に集中力も高まっている状態にあります。
1/fゆらぎを含む音は周囲の雑音をかき消す力もあり、この効果を利用して意識的に集中状態へと入り込むことも可能となります。
人は完全な無音環境ではなかなか集中できないものです。
これに関しては以前に書いた記事で詳しく解説していますので、音と集中力の関係が知りたくなりましたら、ぜひご覧ください。
[https://kumonagi.com/concentration-music/]
人生に1/fゆらぎを取り込む方法
音楽を聴く
自然の織りなす環境音も効果的ですが、人間が創作した音楽、とりわけクラシックには高いリラックス効果があるとされています。
有名な話では、モーツァルトの楽曲には1/fゆらぎがたっぷりと含まれているそう。
モーツァルトの曲は脳に良い影響をもたらすという研究データや論文が数多く存在します。
目で見る
「1/fゆらぎ=音」と思いがちですが、音に限らず視覚から入ってくるものもあります。
たとえば「炎の揺れ」です。
焚き火や暖炉、ロウソクの火などの揺れは1/fゆらぎです。
火がゆらめく様子を眺めていると、なぜか気分が落ち着く感覚になりませんか?
今回、その理由が判明しましたね。
また、意外なところでは「木の木目」があります。
木目は均等ではなく、その間隔は不規則です。
この木目の不規則さは1/fゆらぎになっています。
大自然の中で成長した木も、1/fゆらぎの持ち主なのです。
部屋を1/fゆらぎで満たす
木と火と音。
これらを意識すれば、生活に1/fゆらぎをふんだんに取り入れることができそうです。
木製のインテリアに囲まれて、アロマキャンドルを焚いて過ごすような時間を作れば、あなたに至福のひとときをもたらしてくれることでしょう。
モーツァルトをBGMに、ゆったりと読書でもしてみてはいかがでしょうか。
1/fゆらぎを保有するもの【大自然や有名歌手】

最後に、「1/fゆらぎ」を持つものたちをご紹介して終わりにしようと思います。
「自然」と「歌手の歌声」という内容に分けて箇条書きでまとめましたので、お気軽にご覧ください。
1/fゆらぎ=自然の奏でる音楽
自然は1/fゆらぎの宝庫です。
海、山、森、川など、人の手が入らない大自然ほど豊かなゆらぎに満ちあふれています。
- 雨の音
- 波の音
- そよ風
- 小川のせせらぎ
- 滝の音
- 木の葉の揺れ
- 木漏れ日
- 鳥のさえずり
- 蛍の光
- 木の木目
歌声に1/fゆらぎが含まれる歌手
1/fゆらぎを含む声というのは、練習やテクニックで身に付くものではありません。
天性のものです。
以下の方々は、人々に心地よさを与える歌声を持って生まれたアーティストです。
- 美空ひばり
- 宇多田ヒカル
- 小田和正
- 久保田利伸
- MISIA
- 桑田佳祐
- 徳永英明
- 平井堅
- ジョン・レノン
- ホイットニー・ヒューストン
どうでしょう。
1/fゆらぎの正体はなんとなくつかめましたでしょうか。
やはりリラックス効果があるというのには、しっかりとした理由と裏付けがありましたね。
余談ですが、いろいろ調べてこの記事を書くなかで私が一番興味を惹かれたのは「木目」です。
まさか木目が1/fゆらぎだとは思いもよりませんでした。
また今度、木目と1/fゆらぎの関係をさらに深掘りできれば、と思います。


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